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永田 泉 先生

小倉記念病院 名誉院長
「右肩上がりの収益推移は、広報活動の寄与が大きい」

広報マーケティング活動を強化し始めたのは病院が苦境に立たされたことがきっかけだったと聞きました。
当院では2012年ごろから前院長の退任に伴う混乱が生じていました。そんな中、私は2013年2月に院長として赴任し、病院として再出発を図る上で、トップダウンではなく柔軟に物事を決められる組織を作りたいと考えていました。そうした意図を汲み、同時期に赴任した中井事務長が企画広報課を立ち上げ、ボトムアップ でブランド再建の戦略を検討することになりました。
ホームページでは、トップに地域の生活者に登場してもらっていますね。最初に案を見たときの印象はいかがでしたか。
途中段階で見た時、「少し突き抜けすぎているかな」と言う印象を持ったのは確かです。しかし、中面では診療内容をしっかり伝えてくれていました。何より若い人たちが新しいイメージを作り上げようと考えてくれた案だったので、これでいこうと決断しました。病院のイメージを刷新するために、当院の良さや強み、地域の人たちへの想いを伝えて欲しいと思っていましたから。
ホームページは、診療内容・体制に関し医師の情報を強調するスタイルになっていますね。
マーケティング戦略の基本は強い部分を伸ばすことだと思いますので、当院の強みである循環器内科の診療内容、医師の情報を前面に出してアピールしてきました。もちろん他科にも強みはあり、例えば外科では、独自のプロトコールを作成して、後血栓薬を服用中の患者さんでも手術を安全・安心に行える内容も伝えています。
ホームページや広報誌といった媒体だけではなく、市民や連携施設向けのセミナーなどでも、医師を始めとする職員の皆さんが協力的なようですね。
広報・マーケティング担当者の熱心な姿勢が、医師や他のスタッフに協力しようと言う気持ちにさせている面があると思います。 市民公開講座に関しては、私も裏方として参加し、設営や片付けも一緒にやっていました。協力してくれているスタッフのことを、病院としてもしっかり見ているし、サポートしていることを知ってもらえたのではないかと思います。
広報・マーケティングへの投資については、費用対効果が見えにくいとして、二の足を踏む例も少なくないようです。その点についてはいかがですか。
一般に広報宣伝の費用は削減の対象となりがちですが、コロナ禍以前は 当院の営業収益は毎年5%程度ずつ増加しており、そうした状況下では一定程度の広告宣伝費用の支出は許容されるのではないかと考えています。 収益が右肩上がりで推移してきたのは、地域の人々や連携先の医療機関からの認知が向上し、良い印象を持ってもらえている結果であり、広報・マーケティング活動が寄与している部分は大きいと思っています。

書籍「小倉記念病院のV字回復に学ぶ 最高収益を生み出す病医院マーケティング」より1部抜粋